問題社員との面談は記録しておくべき?労務トラブルを防ぐ重要なポイント

企業や組織で人を雇用する以上、どんなに人事制度や評価体制を整備していても、いわゆる「問題社員」との対応が必要になる場面は避けられません。特に注意が必要なのが、勤務態度や能力不足、職場の秩序を乱す行為などに対して、会社として指導・注意・処分を行う場合です。こうした対応の一環として「面談を記録しておくべきかどうか」は、労務管理において非常に重要な論点となります。

結論から言えば、問題社員との面談内容は必ず記録に残しておくべきです。本記事では、その理由と実務上の注意点、誤解されやすいポイント、そして社労士など専門家のサポートについて詳しく解説します。

〇問題社員との面談記録は必要か?答えは「必要」

問題社員への指導や注意に関する面談は、後のトラブルを防ぐためにも、必ず記録に残しておくべきです。これは、企業が適切な手続きに基づき是正指導を行ったことの証拠となり、不当解雇やハラスメントの訴えへの防御材料となるからです。

記録の形式としては、「面談日時」「出席者」「主な発言内容」「本人への指導事項」「本人の反応」などを時系列で簡潔にまとめるのが基本です。書面で残すのが望ましいですが、後から内容を正確に再現できるよう録音や議事録作成も有効です。

〇なぜ面談記録が重要なのか

問題社員対応において記録が重要とされる理由は、主に以下の3点です。

1.法的証拠としての活用

 後に労働審判や裁判に発展した場合、「指導や改善機会を与えたか」「本人が内容を理解していたか」などが問われます。記録がなければ、企業側の主張が認められにくくなります。

2.社内対応の一貫性保持

 面談記録があることで、対応に一貫性を持たせやすくなり、上司の主観に頼らない公正な処分判断が可能となります。

3.再発防止と指導の継続性

 過去のやりとりを記録しておくことで、再発時の対応がしやすくなり、組織内での情報共有にも役立ちます。

〇よくある誤解:面談記録はトラブルを招く?

一部には「記録を残すと社員との信頼関係が悪化するのでは」と懸念する声もありますが、むしろ逆です。曖昧な記憶や主観に頼らず、事実に基づいたやりとりを残すことで、トラブルの防止や解決につながるケースが多いです。

ただし、記録は事実を冷静かつ客観的に記載することが大前提です。感情的な表現や人格を否定するような記述は避けましょう。

〇実務での注意点

実際に面談記録を取る際の注意点として、以下が挙げられます。

本人にも記録内容を共有する(可能であれば署名をもらう) 

録音する場合は、原則として事前に本人へ通知・同意を得る 

記録は社内の関係者以外には公開しない(個人情報保護の観点) 

継続的な面談が必要な場合、経過を追って記録を蓄積する

また、記録のフォーマットを統一しておくと、管理や報告の際にもスムーズです。

〇専門家による支援とは?

社会保険労務士(社労士)などの労務専門家は、以下のような形で企業をサポートできます。

面談記録のフォーマット作成支援 

問題社員対応の手順整備 

指導内容や就業規則との整合性チェック 

労働トラブルの事前予防策の立案 

労働審判や訴訟対応のアドバイス

特に中小企業では、日々の業務の中で労務リスクへの対応が後手になりがちです。専門家と連携することで、より安心・確実な対応が可能となります。

〇まとめ:面談記録は「企業を守る盾」

問題社員との面談記録は、単なるメモではなく、企業を守る重要な「盾」です。適切な記録を残すことで、指導の正当性を証明し、トラブルの予防・早期解決につながります。

労務対応に少しでも不安がある場合は、早めに社労士などの専門家に相談することをおすすめします。記録の方法や対応の進め方に迷ったときは、一人で悩まず、信頼できるプロの力を借りることが企業のリスク回避につながるでしょう。