問題社員に指導する際の「証拠の残し方」とは?トラブルを防ぐための実務対応を解説

職場で遅刻や業務命令違反、ハラスメント行為などの問題行動が見られる社員に対して、どのように指導すべきか悩む経営者や管理職の方は少なくありません。特に近年は、解雇や懲戒処分をめぐる労務トラブルが増加しており、「きちんと指導したはずなのに、不当だと主張された」というケースも多く見られます。そのため重要になるのが、指導の内容や経緯を客観的に証明できる“証拠の残し方”です。

〇結論

 口頭指導だけでなく、書面・記録・客観資料を残すことが不可欠問題社員への指導は、口頭注意だけで済ませるのではなく、必ず書面や記録として残すことが重要です。将来的に懲戒処分や解雇を検討する場合、「これまでにどのような指導を行い、改善の機会を与えたのか」が厳しく問われます。証拠がなければ、会社側の主張は認められにくくなります。

〇解説 具体的な証拠の残し方と実務のポイント

まず基本となるのは、指導記録書の作成です。面談日時、場所、出席者、問題行為の具体的内容、会社としての注意内容、本人の回答などを詳細に記載します。可能であれば、本人の署名をもらうことが望ましいでしょう。

次に、始末書や顛末書の提出を求める方法もあります。問題行為について本人に事実関係を書面で提出させることで、後日の紛争時に有力な資料となります。

また、メールやチャットの保存、タイムカード記録、防犯カメラ映像、業務日報なども重要な客観証拠です。特に遅刻・無断欠勤・業務命令違反などは、客観データと紐づけて整理しておくことが大切です。

さらに、就業規則との整合性も重要です。どの規定に違反しているのかを明確にし、その条文に基づいて指導していることを記録に残しましょう。

〇よくある誤解 一度注意すれば十分ではない

「一度強く注意したから大丈夫」という考えは危険です。裁判例では、改善の機会を複数回与えたかどうかが重視されます。指導の積み重ねがなければ、いきなりの解雇は無効と判断される可能性があります。

また、感情的な叱責や人格否定的な発言は、逆にパワーハラスメントとして問題になるおそれがあります。証拠を残すことと同時に、指導の適正さにも十分配慮が必要です。

〇実務での注意点 時系列整理と一貫性が鍵

実務では、時系列で整理された記録が極めて重要です。最初の問題発生から現在までの経過を一覧表にまとめることで、対応の一貫性が示せます。

また、指導内容が人によって異なると「不公平だ」と主張される可能性があります。類似事案とのバランスも意識し、社内で基準を統一しておくことが望ましいでしょう。

〇士業としての支援内容 労務トラブルを未然に防ぐ体制整備

行政書士や社会保険労務士などの専門家は、就業規則の整備、懲戒規定の見直し、指導書式の作成支援などを行います。また、問題社員対応の進め方について具体的なアドバイスを行い、法的リスクを最小限に抑えるサポートが可能です。

トラブルが表面化してからではなく、初期段階から専門家に相談することで、後の紛争リスクを大幅に減らすことができます。

〇まとめ

問題社員への対応で最も重要なのは、感情ではなく事実に基づく冷静な対応です。そのためには、日々の指導を記録として積み重ねることが欠かせません。証拠は「いざという時」のための備えであり、企業を守る重要な防波堤となります。

対応に不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、適切な手順と証拠管理体制を整えることをおすすめします。