「勤務態度が悪い社員をどう扱えばいいのか」「何度注意しても改善しない」「解雇できるのか分からない」など、いわゆる“問題社員”に関する悩みは多くの経営者や人事担当者が抱えています。特に中小企業では、社内に専門の人事部がないケースも多く、誰に相談すべきか迷うことも少なくありません。そこでよく挙がるのが「社労士に相談しても大丈夫なのか?」という疑問です。
〇結論 問題社員の相談は社労士にして問題ありません
結論から言えば、問題社員に関する相談は社労士にして問題ありません。むしろ、労働法や就業規則に基づいた適切な対応を行うためには、社労士への相談が有効です。問題社員への対応は、感情的に処理すると後々トラブルに発展するリスクがあります。法的リスクを回避しながら進めるためにも、専門家の助言は重要です。
〇解説 社労士が対応できる範囲とは
社労士は、労働基準法や労働契約法など労働関係法令の専門家です。具体的には、次のような相談に対応できます。
勤務態度不良や業務命令違反への対応方法
懲戒処分の可否や手続きの妥当性
就業規則に基づく指導・処分の進め方
解雇のリスクと適法性の判断
是正指導や始末書の文面作成支援
特に重要なのは、処分や解雇が「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」を満たしているかどうかです。これを欠くと、不当解雇として訴えられる可能性があります。社労士は、事実関係の整理や証拠の残し方、段階的な指導の方法について具体的なアドバイスを行います。
〇よくある誤解 すぐに解雇できるわけではない
「問題社員だから解雇できる」というのは大きな誤解です。日本の労働法制では、解雇は非常に慎重に判断されます。遅刻や態度不良があったとしても、注意・指導・改善機会の付与など段階を踏まずに解雇すると無効と判断される可能性があります。
また、「試用期間中なら自由に解雇できる」というのも誤解です。試用期間中でも合理的理由は必要です。社労士に相談することで、法的に適切なプロセスを踏んでいるか確認できます。
〇実務での注意点 記録と就業規則が鍵
問題社員対応で最も重要なのは「記録」です。口頭注意だけで終わらせるのではなく、指導記録や面談記録を残すことが不可欠です。後に紛争になった場合、企業側が適切な対応をしてきたことを証明できるかどうかが大きなポイントになります。
また、就業規則が実態に合っていない、懲戒事由が曖昧といったケースも多く見られます。就業規則の整備が不十分だと、処分自体が無効になる可能性もあります。社労士は、就業規則の見直しや改定もサポートできます。
〇士業としての支援内容
社労士は、単なるアドバイザーではなく、企業の労務管理体制を整えるパートナーです。具体的には、次のような支援が可能です。
事実関係の整理と対応方針の提案
指導書・始末書・懲戒通知書の作成支援
就業規則の整備・改定
労働トラブル予防の体制構築
なお、すでに紛争が深刻化し、裁判対応が必要な場合は弁護士との連携が必要になることもあります。その場合でも、社労士が労務面の資料整理をサポートすることで、スムーズな対応が可能になります。
〇まとめ
問題社員への対応は、感情ではなく法的根拠と手続きに基づいて行うことが重要です。初期対応を誤ると、企業にとって大きなリスクとなります。社労士は、予防から具体的対応まで幅広く支援できる専門家です。
「まだ大きな問題ではない」と感じている段階こそ、早めの相談が有効です。トラブルを未然に防ぐためにも、一度専門家に状況を整理してもらうことをおすすめします。
