企業の成長と安定運営において、「人」の問題は避けて通れません。特に、いわゆる“問題社員”とのトラブルは、職場の雰囲気を悪化させ、生産性やモチベーションの低下を招く原因にもなります。実際に、「社員の勤務態度に問題があるが、どう対処すべきか分からない」「後々の労務トラブルを避けるために、制度面で備えたい」と悩む経営者や人事担当者は少なくありません。
そこで今回は、問題社員とのトラブルを未然に防ぐために導入すべき社内制度や実務上の注意点について、分かりやすく解説します。
〇問題社員とのトラブルは社内制度で予防できる
結論から言えば、問題社員とのトラブルは社内制度を適切に整備することで、ある程度予防が可能です。特に、就業規則や評価制度、相談窓口の設置など、明確なルールと運用体制を整えておくことで、問題が顕在化する前に早期発見・対応ができます。
また、労働法に基づいた手続きを踏まなければ、懲戒処分や解雇が無効となるリスクもあるため、法令に則った制度設計が重要です。
〇問題社員対応に有効な制度と仕組み
1 就業規則の整備
問題社員への対応において最も基本となるのが就業規則です。業務命令違反、遅刻・欠勤の頻発、パワハラ・セクハラなどの不適切行為に対する懲戒処分の内容や手続きを明記しておくことで、対応に一貫性と正当性を持たせられます。
2 人事評価制度の明確化
評価基準が不透明だと、「不当な扱いを受けている」と社員側が感じ、トラブルに発展することがあります。職務内容や期待成果、勤務態度などを明文化した人事評価制度を導入することで、問題行動に対する客観的な判断材料になります。
3 社内相談窓口・ハラスメント対応窓口の設置
問題社員の背景には、メンタルヘルスや職場の人間関係が影響しているケースもあります。社内外に相談窓口を設け、早期に問題を察知・対応できる環境を整えることも重要です。
4 注意・指導記録の文書化
問題行動を見過ごさず、日々の注意や指導を文書で記録しておくことも大切です。後に懲戒処分や配置転換を行う際の根拠として有効になります。
〇よくある誤解 問題社員はすぐに辞めさせられる?
「勤務態度が悪いから解雇できるはず」と考える方もいますが、労働契約法や判例上、解雇は最終手段とされており、相応の理由と手続きが求められます。例えば、一度の遅刻や軽微なトラブルでは解雇は認められないのが実情です。したがって、注意指導→改善機会の付与→懲戒手続きといった段階的な対応が求められます。
〇実務での注意点制度は「運用」が鍵
制度を作っただけでは意味がなく、実際の運用が伴ってこそトラブル防止に繋がります。例えば、「就業規則はあるが誰も読んでいない」「注意指導が属人的で記録がない」といった状態では、逆に不公平な対応と見なされ、労使紛争に発展する恐れもあります。
また、制度の見直しや社員への周知、管理職への教育も定期的に行うことで、トラブルに強い組織づくりが可能になります。
〇専門家による支援 社労士・弁護士の活用
社内制度の整備や問題社員対応には、社会保険労務士や弁護士などの専門家の助言が有効です。社労士は就業規則の作成・改訂、人事評価制度の構築、労務トラブル対応の相談窓口として、弁護士は懲戒処分や解雇の法的リスクの精査、万一の訴訟対応において頼りになります。
早期の段階で専門家に相談し、トラブルを未然に防ぐ仕組みを整えることが、企業のリスクマネジメントにおいて重要です。
〇まとめ
問題社員とのトラブルは、発生してから対処するよりも、制度面で未然に防ぐほうが遥かにスムーズです。就業規則や評価制度の整備、相談窓口の設置などにより、問題が顕在化する前に対処できる体制を作っておくことが、企業にとって最善の防御策となります。
「制度はあるが機能していない」「どこから手をつけて良いか分からない」と感じる場合は、早めに専門家に相談し、自社に合った仕組みを導入することをおすすめします。
