就業規則で定めるべき「服務規律」とは何ですか?労務トラブルを防ぐための基本ルール

企業が従業員との間で良好な労働関係を築くためには、一定のルール作りが欠かせません。その中でも「服務規律」は、職場での秩序維持や業務効率向上のために重要な要素です。

多くの中小企業や人事担当者から「服務規律とは具体的に何を定めるべきなのか?」「どの程度まで就業規則に記載すべきなのか?」といった疑問の声が聞かれます。この記事では、服務規律の概要から実務での注意点、専門家の支援まで、わかりやすく解説します。

〇服務規律とは職場内の行動ルールのこと

服務規律とは、従業員が業務を遂行するうえで守るべき行動規範やマナー、義務などを定めたルールのことです。職場での秩序を維持し、企業の円滑な運営を図るために、就業規則の中で明文化しておくことが求められます。

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対し、就業規則の作成と労基署への届け出が義務づけられており、その中に服務に関する事項も含まれます。服務規律は、この就業規則の重要な構成要素です。

服務規律に含めるべき内容としては、以下のような項目があります。

勤務態度(時間厳守、誠実な勤務)

職場内でのマナー(あいさつ、服装、言葉遣いなど)

業務命令の遵守

機密情報の取扱い

ハラスメントの禁止

職場の設備や備品の適切な使用

副業の制限や事前申告義務

これらを明文化することで、トラブル時の対応基準となり、使用者・労働者双方の安心につながります。

〇服務規律に関するよくある誤解

「服務規律を細かく書きすぎると、かえって自由がなくなってしまうのでは?」という懸念を持つ企業もあります。しかし、服務規律は従業員の行動を不必要に制限するものではなく、あくまで“職場での基本ルール”を明確にするためのものです。

また、「一律のテンプレートを使えば十分」と考えるケースもありますが、業種や職場環境によって適切なルールは異なります。たとえば、接客業では接遇マナーを重視する一方、IT業界では情報セキュリティに関する規律がより重要になります。

〇実務での注意点

服務規律を就業規則に盛り込む際には、いくつかの注意点があります。

まず、あまりに抽象的な表現では、実際のトラブル時に対応基準として機能しにくくなります。たとえば「誠実に勤務すること」といった規定だけでは、何が「不誠実」なのか判断が分かれてしまう可能性があります。

また、服務規律に違反した場合の懲戒処分との関連性も重要です。処分の妥当性を担保するためには、服務規律の内容と処分規定との整合性をとっておく必要があります。

さらに、服務規律の内容は時代や社会情勢の変化に応じて見直しが必要です。たとえば、近年ではSNSの利用ルールやリモートワーク時の行動規範なども、服務規律に加えるケースが増えています。

〇専門家による支援内容

就業規則の作成や見直しは、専門的な知識が求められる分野です。特に服務規律に関しては、曖昧な表現が法的トラブルを招く恐れがあるため、社会保険労務士など労務の専門家の支援を受けることが有効です。

社労士は、企業の業種や就業環境に応じて適切な服務規律を提案し、実際の労働トラブル事例に基づいたアドバイスも提供してくれます。また、就業規則の作成・変更に伴う労働基準監督署への届出手続きも代行してもらえるため、事務負担の軽減にもつながります。

〇まとめ

服務規律は、従業員が安心して働ける職場環境をつくるための基本的なルールです。あいまいなままにしておくとトラブルのもとになりかねません。明文化し、定期的に見直すことで、社内の秩序維持とトラブル防止の両立が可能になります。

「自社に合った服務規律がわからない」「法的リスクが心配」といった場合は、社会保険労務士など専門家への相談を検討してみてください。正確で実践的なルール作りが、健全な職場環境への第一歩となります。